クロアチア・スロベニアを経てギリシャのメテオラ、アテネを巡った一人旅も、日本から来た母と妹を加えて賑やかな3人旅に。 スタイルアドバイザーとしてIGや雑誌、ウェブコンテンツを中心に独自のコーデ術を発信する妹(IGID:miho0319kawahito)による旅に合うファッションコーデと、私の旅プロデュースとの姉妹コラボも今回のテーマの一つ。 夢のように美しいギリシャの絶景と共に、ぜひぜひお楽しみ下さい! 【旅行時期:3月末~4月上旬】
■別れ
前回はこちら↓
昨日の美しいケファロニアの自然が目に焼き付いたまま、今日はお隣のザキントス島へと渡ることになる。
約束通りスピロスさんはホテルに迎えに来てくれていた。
ザキントス島へはシーズン中なら直行フェリーがあるが、今はまだキリニという港で乗換が必要となる。
念のためケファロニアラインの予約サイトでチケットをオンライン予約しておいた。 複数のフェリー会社があるが、ケファロニアのポロス港を8:30に発ちキリニへ10時着。キリニを11時に出てザキントスへ12時着というケファロニアラインのフェリーが最も効率的だったのでこれに決めていた。
港までの道は空いていて、あっというまに着いてしまった。チケットオフィスでの引換手続きまでも手伝ってくれるスピロスさん。彼とのお別れももうすぐだ。
旅には一期一会という言葉がよく似合う。
中には嫌な思いをすることも無いわけではないが、自分とは国も環境も、生活スタイルも流れている時間さえも全く違う人々との出会いは、少なからず自分にとって何かしらのインパクトを与えるものだ。
スピロスさんをはじめ、ケファロニアで出会った人たちは「人がいい」という表現がピッタリだった。そしてお金に対して執着が無く朗らかで陽気で思いやりがある。 昨夜のレストランでは、私たちが日本人と分かると店員さんが「東日本大震災のことを気の毒に思っているよ。ケファロニアでもかつて大地震があったんだ。」と声をかけてきてくれた。日本人客のあまり多くないこの島で、こうやって私達のことを気にかけてくれる人々って、優しいなと思うのである。
お世話になったスピロスさんともこれにてお別れ。昨日と今日のタクシー代を渡すと、それぞれがハグをして別れを惜しむ。
「ケファロニアにまた帰ってきておくれ。今度来た時にはタクシー代はタダだよ!」と粋な言葉を残して去っていったスピロスさん。
次に訪れた時も必ず、彼の赤いタクシーに乗ろう、と心に誓ったのであった。
※もしケファロニアに行かれる方でタクシーをお探しの方、スピロスさんを紹介して欲しいという方はメッセージを下さい。連絡先をお教えします。
■昼下がりのキリニ港にて
巨大なフェリーは次々と車を飲み込み、ほぼ定刻通りに出航した。
ラウンジには簡単なバーもあり飲み物やパンなどを買うことが出来る。
1時間半などはあっという間で、キリニ港へと到着した。
さて、ここからが問題だった。
実は昨日、ザキントスに着いてから使うタクシー会社から連絡があり、どうやら予約してあったはずのキリニからのケファロニアラインのフェリーが出なくなったらしいということだ。ザキントスへ行くには、2時間ほど後のレヴァンテラインのフェリーで行くしかないだろうとのこと。
キリニ港は眩しい太陽と明るい海がキラキラ輝いていた。
まずはフェリー欠航の真偽を問うべくチケットオフィスへ向かった。
やはり今日のザキントス行は欠航とのこと。オフシーズンはこういうことがよくあるので次の一手を考えておくことが重要である。
チケット代をリファンドしてもらい、レヴァンテラインのチケットを買い直す。
・
これから2時間ほど待ち時間ができてしまった。
何もなくだだっ広い港である。
ただ、降り注ぐ日差しと海の青さはすこぶる気持ちが良い。
ちょうど昼に差し掛かるため、港に一軒だけあったカフェで簡単に腹ごしらえすることにした。
セルフサービスタイプのカフェは、同じくフェリー待ちの客が数人といったところか。
ドライトマトとチーズのパイや、ラバニケーキを食べたが、これが意外に美味しかった。
何もないように見えた港だったが、埠頭の方まで歩いて行くと想像以上にフォトジェニックだ。
小型の漁船が行儀よくつながれ、小さな波に揺れている。ところどころに漁師たちが座って世間話をしている。
彼らも今はお昼休みなのだろう。
漁師の一人に写真撮影を申し込むと快諾してくれた。
乗り気だったのだろう、歯の抜けた彼だったがなかなか凛々しく写っている。
ちょっと待っててくれというから立ち止まっていると、獲れたての魚でいっぱいになったビニール袋を持って来た。
魚をもって写真を撮るといい、と言う。
なんだか思わぬプレゼントをもらったような気になって、一枚。
そうこうしていると、今度はバイクに乗ったちょい悪系の漁師がやってきた。
彼にも写真をお願いすると、勝手に後ろに乗らせてもらって一枚。
ほのぼのとした漁師たちの雰囲気にすっかり癒された港での昼下がり。
■ザキントス島へ
レヴァンテラインのフェリーが汽笛を鳴らしながらゆっくりと近づいてきた。
レモンイエローの船体と海の青がよく合う。
本日のファッションは、ケファロニアでのカラフルコーデに対して今度は白をメインカラーにしたコーデ。
どちらも海のブルーに良く合う。
妹はダメージデニムにホワイトレースのトップスで甘辛バランスを考えたコーデ。
私はホワイトをベースにしながら、トップスにボーダーをもってきてマリンぽさをプラス。
母はオールホワイトにブレザーで引き締めカラーのネイビーを。
こちらのフェリーは、ケファロニアラインと比べて設備が整っていて、船体も新しいようだ。
まるでホテルのようなエントランスにはピカピカのエレベーター。
スーツケースはエレベーター脇の倉庫に預けられるようになっている。
内部は広いラウンジになっていて、カフェやバーがいくつもある。
ソファー席にはテレビもあり、充電器もある。
フォルクスワーゲンのショールームまであった。
あっという間の1時間。
14時過ぎにはザキントス港へ到着だ。
船の出口が開くと、外には出迎えの人たちが群がっていた。
その中に、私たちが予約しておいたザキントスタクシーのドライバー、コスタスさんの姿もあった。
ザキントスでもケファロニアと同じく基本は車移動となる。
レンタカーを借りないのならば、タクシーはできるだけ先に確保しておいた方が良い。
港は人と車でごった返していてスーツケースを持ったまま空いているタクシーを探すのには多少の労力が必要である。
飛行機で着いた場合も、意外に予約タクシー以外のタクシーを見つけるのが難しいこともあるので、予約できるものならしておくと良い。
プラカードを持って出迎えてくれる。
■憧れのシップレックビーチ
そして今回、この時期にギリシャを選んだ最大の目的は、ジブリの名作、紅の豚のモデルとなった例のビーチへ行くことだった。
はるか昔に打ち上げられた難破船がそのまま朽ち果ててビーチに横たわる姿は秘境感がたっぷり。
シーズン前の今は、更に遊泳客がおらず、その神秘的なビーチの魅力そのままに独り占めできると踏んでいたのだ。
ただし、オフシーズンのメリットを享受するには注意点がある。
ザキントス島についても相変わらず日本での情報が乏しく、何を見ても大した情報が得られない。
そこで、今回はオフシーズン時の様子も含めて少し詳しく情報を載せてみようと思う。
まずはシップレックビーチと呼ばれるそのビーチを100%味わうに二つの方法をとらねばならないということだ。
一つ目は、車でビーチを俯瞰するビューポイントへ行き、上からビーチの眺望を楽しむこと。
この眺めがいわゆるポルコの隠れ家を彷彿とさせるのである。
二つ目に、海からビーチへアプローチすること。
ここへは陸上からアクセスできる方法が無い。
そこで、この神秘的なビーチに近付いてみたければ、ボートにのって海からアクセスするしか無いのである。
これを前提として、注意点は以下の通り。
上からのビューポイントへ行くのは天気さえ良ければまずほぼ問題ない。
問題は海からのアクセス方法である。
6~9月のオンシーズンになると、アギオス・ニコラウスという港にシップレックビーチ行のボート屋がたくさん店を出している。
ほとんどが、ビーチと青の洞窟をセットにしたクルーズで、ビーチに上陸し小一時間過ごした後戻ってくるというものだ。
その場で料金を払いボートに乗ってしまえば良い。
しかし、オフシーズンとなると、アギオス・ニコラウス港には開いているボート小屋は一軒も無くなる。出店も閉まり、嘘のように静かな港になってしまうのである。
オンシーズンのノリでレンタカーでも借りて港へ行ってみたものの、一切ボートも人も見当たらず、取りつく島がなくなって帰ってくるのがオチである。
ビーチに行きたいのなら、ここをどうクリアするかが問題である。
この点に関しては、ガイドブックにも様々なブログにも情報が皆無だった。
オフシーズンに訪れて、たまたま見つけた漁師にお願いして運よくボートを出してもらった、もしくは偶然グループ客がいてビーチまでのツアーに便乗させてもらったという話はあったが、これでは不確実である。
やはり、なんとしてでも行きたい。
そこで今回私がとった策が、ボートのチャーター予約である。
ザキントスには一軒、シップレックビーチへ行くボートを予め予約できるところがある。
Potamitis Brothersというボート会社は、オンシーズンには他のボート会社と同じくその場でボートを出しているが、今回はここにメールを送り、日にちとだいたいの時間を告げて、ボートを私たちのために出してくれないかと交渉をしておいた。
この時期は、夏に比べて気候が多少不安定なので天気にもよるが、当日ボートの準備をしておいてくれるということになった。
フェリー(または飛行機)の着く時間をメールで知らせておく。
そして当日は、タクシーのドライバーとPotamitis Brothersのスタッフとで携帯電話で話をつけてもらい、場所と詳しい時間を打ち合わせてもらうという方法だ。
メールのやりとりも、念のためプリントアウトして持っておこう。
予約タクシーにも、予めシップレックビーチにボートの予約を入れてある旨をメールで伝えておく。
以上のことをすれば、あとは天候の問題さえクリアすればオフシーズンでも確実にビーチへ行くことが出来る。
さて、予定通りコスタスさんの車に乗り込むと、さっそく電話でPotamitis Brothersへ連絡してもらった。
海の状態も問題なく、ボートを出してくれるとのことだ!
一番見てみたかったシップレックビーチ。
ついにここへ行ける時が来た。
ザキントス島はケファロニア島に比べて幾分小さいが、人も車も活気があった。
ザキントスタウンを抜けると、爽やかな陽気の中車は風をきって走る。
高台で少し降りて外の空気を吸う。
海の青さに心がはやる。
車はいくつも高台を越え、アップダウンを繰り返してアギオス・ニコラウス港で止まった。
ただし、ここではトイレ休憩だけである。
Potamitis Brothersはもう少しシップレックビーチに近いスキナリ岬というところに独自の波止場をもっているのだ。
予想通り、ここには今の時期人っ子一人いない。
かろうじて開いていた小さな商店でトイレをかしてもらう。
45分ほど走っただろうか。
車は小さな風車の前に停車した。
降りると感じの良いスタッフが出迎えてくれ、ボートの準備が出来ているという。
見習いの少女について海までの階段を下ってゆく。
眺める海の青さに、溜息が漏れると同時に期待が高まる。
途中、中国人女性が一人便乗して、4人でのクルーズとなった。
さて、いざシプレックビーチへ!
小さなボートは想像以上に波に煽られ、揺れというよりも振動が凄い。
苦手な人は酔い止めを飲んでおく方が良いかもしれない。
私達はキャーキャーはしゃぎながら、ボートは波しぶきを上げてどんどん突き進む。
岩肌が露わになった陸地に近付くと、青のトーンが変わっているのが目につく。
途中、目も覚めるような鮮やかなコバルトブルーに染まる一角があった。
ボートの揺れにも慣れてきたころ、前方にあのビーチの姿が現れた。
遠くから、難破船が横たわっているのが見て取れる。
三方を岩壁に囲まれ、秘められた楽園のような小さなビーチ。
人っ子ひとりいない静かなビーチに、今は私達4人だけである。
後を振り返ってみても、広大な海原に見渡す限りあるのは私たちのボート一隻だけ。
ちょうど日の射し込む角度によって、ここへ光が降り注いでくる。
波の音以外に何も聞こえない静かな静かなビーチは、期待通りの隠れ家的な魅力に溢れていた。
それに加えて、自然のものとは思えないこの輝くブルーの海面。
秘められた楽園、という表現がぴったりのシップレックビーチは、なるほどポルコが隠れ家にするのも納得がいく。
今回は波が高く上陸はできなかったが、ここまで近づけたなら十分である。
帰りはまた、様々な変化を見せるブルーを味わうため、青の洞窟とよばれる洞窟にいくつか入って冒険気分を楽しんだ。
さながら、ディズニーランドのカリブの海賊かジャングルクルーズのようだ。
すっかり満足して波止場へ戻って来たのだった。
これで料金は一人25€である。
シーズン中よりも若干高いが、チャーターでここまでビーチを独り占めできれば安いものだ。
■シップレックビーチ、もうひとつの絶景ビュー
続いてもう一つの目的、ビューポイントへ向かう。
波止場から少し走った高台に、若い女性たちが集まっていた。
どうやらここがポイントのようだ。
鉄柵の展望台の横に、少し塀の壊れたところがある。
危険だからおススメはできないが、実はここから崖の淵を数メートル歩いていったところの眺めの方が素晴らしい。
恐る恐る歩いて顔を上げた瞬間、やはり感動を隠せなかった。
美しいビーチである。
青のグラテーションといい、どこまでも広がる広大なイオニア海のパノラマといい、絶景というに相応しい。
静かなビーチに打ち寄せる波の動きまで見ることができる。
ここも、オンシーズンは長蛇の列ができるらしいので、この時期に来たのは正解だったかもしれない。
アイルランドから来たらしい彼女たちもこのビューポイントで写真撮影を楽しんでいたので、並んで写真を撮ってもらった。
時間は17時に近づく頃。
4月に入ったギリシャはまだ日が高く、若干西に傾きかけたところだった。
最大の目的であったシップレックビーチを十分堪能し、本日の宿泊地、ザキントスタウンのホテルへと帰路につく。f:id
■ザキントスタウンへ
ザキントスタウンは島で最も大きな街だ。
そうはいっても、半日もあれば全部見て回れてしまうくらいのコンパクトさである。
ホテルはそんなこじんまりとした街の、こじんまりとした広場に面した場所にあった。
ザキントスには、郊外に行けば大型のリゾートホテルもあるが、足が無く短い滞在の場合は小さくてもザキントスタウンの中心部に宿をとることをおススメする。
ダイアナホテルはこれまたこじんまりとしたホテルだったが、フロントのスタッフは親切で愛想が良く、ピカピカに掃除が行き届いていた。
部屋もホテルの規模にすれば十分の広さ。
夕食は、フロントのお姉さんオススメのレストランを紹介してもらった。
アレクトールは、ホテルを出てすぐ、広場から少し海の方に歩いたところにある素敵なレストラン。
日本のガイドには載っていない穴場である。
メニューにはどれも美味しそうな料理が並ぶ。
頼んだのはこの7皿。
初めに出てきたガーリックトーストは、ナンに近いもちもち食感にほんのり甘みがあって何枚でもいけてしまう。
ギリシャは生野菜もよく食べるので、野菜サラダがモリモリ食べられるところも良い。
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ギリシャ料理の定番、タコのグリル。
肉厚で噛み応えのある大きなタコは、しっかりとした魚介の旨味がありとても美味。
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ギリシャのラザニア、ムサカはミートソースにチーズ、卵が入っているのか、ふわふわしていて全くしつこくなく、あっという間に食べてしまった。
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たっぷりのムール貝も、一粒一粒濃厚で美味。
デザートにはウォールナッツのケーキと、ザキントス名物フリガーニャ。
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フリガーニャは、レモンクリームのような、でもレモンではなく、生クリームでもない、不思議なクセの無い甘みのクリームでできていて、とても美味しかった。
ギリシャに来てからというもの、未だ料理で外れた試しがない。 お腹も満たされすっかり満足し、ホテルへと戻った。f:id:mamfuj:20150521095533j:plain
明日は日本でもほとんど情報のないザキントスタウンの町並みを丹念に歩き、その魅力をお伝えしたい。
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